美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容室を開業するにあたって、集客しやすい店を目指すためには立地条件が良いことが重要です。
しかし、自店のコンセプトに合い、ターゲット顧客がアクセスしやすい立地を見つけることは容易ではありません。
そこで今回は、美容室の開業において大切な立地選びについて、選定のポイントと手順をご説明します。
目次
美容室の立地の良し悪しは、「アクセスの良さ」で決まります。
例えば「駅から歩いて30分」「公共交通(バスや電車、地下鉄など)で行けない」「車でないといけない」などのアクセスしにくい立地条件であった場合、どんなに優れた施術やサービスを提供できてもお客様が来店するにあたって時間もお金も余分にかかってしまうため、よほど店のファンでない限り継続して来店しにくいと考えられます。
もちろん、店のコンセプトに合った土地を選ぶことも大切ですが、開業して継続的な「集客」を目指し長く愛される美容室になるためには、その地域のお客様だけではなく、少し遠くから足を運んで来店されるお客様も重要であると言えます。
そのため、気軽に来店できるかどうかの「アクセスの良さ」という条件は外すことができない大切なポイントです。
一般的には、美容室にとっての良い立地とはアクセスの良い場所ですが、その上で必要なのは、自店のコンセプトに適している立地かどうかという点です。
例えば「大人の隠れ家的なサロン」を開業するために、「少し街並みから離れた静かな雑居ビルに落ち着いた店を構える」「秘密基地のような分かりにくい場所だけれども、非日常を味わえて気持ちも身だしなみも整えることができる店を構える」などのように、店舗のコンセプトと条件(ターゲット顧客層の有無)が合致している場所がよい立地と言えます。
つまり「街から離れている」「静か」「分かりにくい」というデメリットが、「隠れ家」「非日常」など他の店舗にはない長所としてなり得る場合は良い立地であると言え、万人に対して大幅な集客UPは望めなくても、ニッチなファンを取り込んでいけば安定した売り上げに繋がると言えます。
美容室にとっての悪い立地とは、前述した内容のの逆になりますが、店舗のコンセプトと立地条件が合致していない場合(乖離している場合)が悪い立地ということになります。
例えば、ビジネスとプライベートの髪型を楽しめる働く男性のための2wayデザインが売りのサロンであれば、働くビジネスマンが多い駅中心の立地が適しています。しかし、通勤に使用される主要な駅から遠い郊外に出店しても、顧客ターゲットが少ないと考えられるため継続的な集客を期待することは難しいと言えます。
ここまで、美容室の立地には「アクセス」と「店のコンセプト」が重要であるということをお伝えしました。ここからは具体的な立地選びのポイントをご紹介します。
物件の賃料が売り上げに対して適切であることは、事業を継続していく上で重要な要素です。固定費の中で賃料は人件費に次いで大きな支出項目であり、テナント契約の前に売上予測を立てて、売上見込の7~13%程度に収めることが重要です。
一般的に賃料が高い物件は、人通りが多く、専有面積も広く、築年数が新しい物件が多いですが、どんなに店のコンセプトと立地が合致していても、売上と賃料のバランスが取れていなければ経営は破綻してしまいます。
店のコンセプトと立地をすべて合致させることは難しいため、ターゲットとするお客様の立場に立ちながら、人通りの有無・専有面積・築年数・建築設備の新しさなどの物件特性に妥協をすることが大切です。
その中で、キャッシュフローが安定する賃料に収めておき、支出を適正化する必要があります。
美容室という顧客の美意識を高める施設の特性上、店がオシャレで洗練されていても、入るビルや周辺環境の衛生状況が悪い(虫が湧いている、臭気があるなど)場合は、ダイレクトに失客に繋がります。
特に、店舗を構えようとしているビルや周辺のビルに飲食店が入居している場合、害虫の存在はあるべきものとして考える必要があるため、入居者へのヒアリングや現地調査を行い、立地選定を行う必要があります。
来店されるお客様にとって、安全であり安心して店を利用できることは、当たり前であり最も重要なポイントのひとつです。
常に交通量が多く、人や車が行き交う危険なエリアや犯罪が多発する立地は、お客様へのイメージが悪くなるため避けることが重要です。また、立地周辺の公共物(壁や道路)などに落書きなどがなく、エリアとして荒れていないことも重要です。
では、どのようにして美容室の開業時に立地を選んでいけばよいのでしょうか。以下で大きな流れをご説明します。
美容室の立地選定には、まずは店のコンセプトを決めることが最重要です。どのような店にしたいかが大切であり、自身のコンセプトとは異なるような立地に合わせた店づくりは長続きしません。
そして、そのコンセプトを反映した施術を誰に対して行うかを合わせて決めることが大切です。
例えば、コンセプトを特につくらず、不特定多数に対して普遍的なサービスを行うサロンと、特殊パーマやカラーに特化した流行スタイルを若者向けに発信するサロンでは、求められる顧客ニーズに大きな差が生まれると考えられます。
前者のようなサロンであれば、「近くだからなんとなく行く」「まあまあ上手だからとりあえず行っている」「他に行くところがないから行っている」などのポジティブでない顧客ニーズが想定され、店側もそれに対して創意工夫がしにくく、集客や売上が向上しにくいと考えられます。
一方で、後者のようなサロンであれば、さまざまなカラーやパーマの技術があれば、「韓流アイドルのようになりたい」「芸能人のようなヘアスタイルがいい」「◯◯選手のようなスポーツをしても崩れない髪型がいい」などのような多様な顧客ニーズがあり、それに対する十分なサービスができれば集客や売上UPの継続が期待できます。
どのようなサービスを、どんなお客様に対して施術したいかを明確に決めたほうが、結果として顧客満足度は高くなるでしょう。
コンセプトや顧客ターゲットを決めた後は、顧客ターゲットが見込めるエリアの立地を想定します。
例えば、ターゲットが学生であれば高校や大学の近く、ビジネスマンであれば駅の近く、富裕層であれば高級住宅街の近く、ファミリー層であれば生徒数が多い学校区内など、中心となる顧客ターゲットが多いと想定される立地に絞り込んでいきます。
また、ターゲット顧客が来店される時間帯も想定し、その想定時間内での人の流れや交通量なども事前に調査、その結果を判断材料にする必要があります。
以下に、条件に合った物件(立地)を探すために確認するべきことを示します。
美容室開業に向けて物件(立地)が決まれば、次は毎月の収支を検討します。
ここで、1人で美容室を開業した場合を想定してみます。美容室の売上構造は、単価×客数のシンプルなビジネスモデルであるため以下のように売上の想定ができます。
客単価:約7000円~9000円/人
客:3~5人/日(施術2時間/人とした場合)
稼働日:24日/月
と仮定し、1人で美容室を開業した場合の売上の目安は、店舗の立地やニーズにもよりますが、
売上(年間)=8000円/人×4人×24日×12か月=約920万円となります。
例えば、賃料が10万円/月である場合、年間では10万円×12カ月=120万円の賃料(支出)が想定されます。
一般的な小規模美容室の場合の家賃比率(売り上げに対する家賃の割合)は10%以下が望ましいとされているため、このケースでは家賃比率=120/920≒13%で比較的高く、条件が良い立地であっても利益を出すには賃料を抑える必要があるなどの検討が必要となってきます。
さまざまな要素を考慮した結果、立地が悪い場所に美容室を開業することになった場合、顧客の認知率を高めるにはどのような手法があるのでしょうか。
店のコンセプトを反映させたロゴデザインやサイン計画(看板など)は、立地が悪い美容室では特に重要です。
駅から遠かったり、路地に入って行ったりするような場所でも、ロゴや看板を道中や店の前で見つけることができれば、ターゲット顧客はもちろん、潜在顧客の認知度もUPします。
顧客に認知してもらうためには、店のコンセプトカラーを使いながら、一目見ると忘れないようなロゴや看板のデザインを検討していくと良いでしょう。
美容室の立地が悪いことでターゲット顧客や潜在顧客の視認性が低下することが考えられる場合は、HPやInstagramなどの媒体を利用して広告宣伝を行うことが重要です。
自身の店の良さをターゲット顧客や潜在顧客に知ってもらうために、店の雰囲気、スタッフの顔、得意な施術、デザイン例などを発信していきましょう。
そこで興味を持った方は、多少立地が悪くても目的(◯◯なスタイルになりたいなど)を持ってアクセスしてくれるため、重要な顧客となり得ます。
現在の美容室運営においては、SNS戦略は特に重要な広告宣伝であるため、立地が悪いことを逆手に取るような、「隠れ家のような落ち着いた空間」「知る人ぞ知る穴場スポット」などと短所をストロングポイントに見せるような宣伝方法がよいと考えられます。
美容室の立地が悪いということは、店を知ってもらうためのきっかけを作る必要があります。
そこで、ターゲット顧客を踏まえて駅などで店舗のフライヤーを配ったり、ポスターを掲示したりすることで認知度を徐々にUPさせていきましょう。
美容室開業にあわせて、働いているスタッフが直接手渡しでターゲット顧客や潜在顧客にフライヤーを渡すことで、店の雰囲気や人となりが伝わるため、紙媒体の広告宣伝も有効です。
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