美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容師は、お客様一人当たりの施術時間が長く、一日に多くの人数の接客をするため、労働時間が長くなる傾向があります。
また、一日のスケジュールはお客様の予約の状況によるため、休憩時間も不規則であり、美容師として働く方にとって、適切な労働時間と休憩時間を確保することは非常に重要だと言えます。
今回は、美容師の労働時間や休憩時間はどのくらいであるのか、その実態と改善策をご説明します。
目次
一般的な美容師の労働時間がどのくらいなのかをシミュレーションしてみます。
店舗の営業時間が10時から19時の場合、開店準備やミーティングのため1時間前の9時に出勤して、1時間の休憩時間をとり、清掃や反省会などのため閉店後の1時間後、20時に退勤するとすれば、実際の労働時間は10時間となります。
上記より、1日あたりの時間外労働時間は2時間となり、週休2日の場合では、時間外労働は月に40時間程度となります。
ここに、SNSでの広告宣伝(動画編集、画像加工など)や施術練習の時間を加えると、労働者自身のプライベートの時間(労働していない時間)はどんどん短くなっていってしまいます。
しかし、美容師は、お客様の予約に合わせてスケジュールを組むので、休みがなかなかとりにくく、さらに、カラーやパーマなどの施術時間は個々で異なるため、予定していた施術が時間内に納まらない場合も考えられます。よって、11日の労働時間や時間外労働時間は、上記よりさらに長くなる可能性もあると言えるでしょう。
美容師に関わらず、労働者の労働条件を適正化するための労働基準法において、以下のように労働時間や休日に関する制度が取り決められています。
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
上記は、使用者が人材を雇用する際に守らなければならず、労働者の心身の健康を守る最低限のきまりでもあります。
通常、一週間の法定労働時間は40時間以内としなければなりませんが、常時使用する従業員(パート・アルバイトなど)が事業所に10人未満の場合は、法定労働時間が週44時間と定められており、多くの美容室はこちらの労働時間に該当します。
では、美容師の労働時間が長くなる理由にはどのようなことがあげられるのでしょうか。
施術メニューの中で、カラーやパーマは、カットと比べて施術時間が長くなります。
特に、単色ではない2トーン以上やバレイヤージュなどのグラデーションカラーは、個々の髪質によって発色が異なることと手間がかかる施術であるため、1人当たり3時間〜4時間かかってしまうことも珍しくありません。
そのような顧客が一日に2~3組いるとすれば、1日の労働時間が長くなってしまうため、顧客と顧客の間に無駄な空き時間が生じないように、スタイリストのスケジューリングをできる限りタイトに合理的に行う必要があります。
美容室で1日に施術できる顧客数は限られていますが、スタッフが少ないと、施術以外の業務(清掃や事務、広報活動など)を分業できないため、業務時間が長くなってしまいます。
特に、昨今の美容室運営において、SNSによる広報活動は新規顧客会得やリピーターを増やすために必要不可欠です。
1人経営の美容室や2~3人での少人数美容室では、上記のような顧客の施術以外の業務に手を取られることが多いため、宣伝活動を外注したりその他の業務を当番制にしたりするなど、1人当たりの業務負担を少なくする工夫が必要となってきます。
施術経験が少ないスタイリストになりたての美容師やアシスタントなどは、個人のスキルを上げるための自主練習やスタッフ間での勉強会で時間を費やすことになります。
会社から業務として練習を求められる場合もありますが、あくまでも自主的な練習である場合が多く、報酬(残業代)が発生しないこともあるため、心身ともに疲れてしまう美容師も少なくはありません。
また、カットやカラー、パーマの流行は年々変わり、顧客ニーズも要求も高くなってくるため、技術や経験があるスタイリストも日々スキルの研磨や研究が必要となり、施術時間以外にも勉強や練習の時間を費やすことになります。
では、美容師の労働時間を改善する方法はどのようなことがあるでしょうか。ここでは、美容室の経営者としてできることに焦点を当ててご説明します。
多くの美容師は、予約続きで長時間労働を行うこともあるため、メリハリある働き方を美容室単位で行うことで、美容師の生産性はUPします。
例えば、予約サイトと連動した無駄がないスケジューリングを行い、予約が比較的少ない日は早く帰ったり、空き時間が長い場合は休憩時間に充てたりします。休むときは休み、働くときはしっかり働く美容室であれば、労働時間も調整でき個々への負荷も軽減できると考えられます。
スタイリストやアシスタントが足りずに、スタッフ全体の労働時間が長くなってしまっている場合には、採用強化を行うことが非常に効果的です。
手が足りていない部門に求人サイトやHPなどでピンポイントで募集をかけることで、人材を確保し、現スタッフの労働負担を軽減することができます。
店舗改装やインテリアの強化により、美容師がその美容室で働くことに満足感を持てるような労働環境の整備をすることがあげられます。
また、オシャレな店舗であるだけではなく、完全週休2日制や分単位の残業代支給、昇給、歩合、育休や産休の強化などを行い、男女問わずあらゆる年代のスタイリストやアシスタントが安心して働くことができる環境整備を行えば、働くことへのモチベーションUPにつながり、長い労働時間への不満も軽減できると考えられます。
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