美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容室経営において、リピート顧客を増やし、「リピート率」を上げることは、店の売上をUPさせる大きな手法です。
今回は美容室の顧客の平均リピート率やリピート率の低下(客離れなど)を改善する手法についてご説明します。
目次
美容室の顧客のリピート率は、以下の式で算定されます。
リピート率(%)=リピートした顧客数(人)÷新規顧客数(人)×100
上記の値は、期間(一般的には顧客が来店してから次のご来店までごと)や担当者ごとで算出し、分析する値です。
リピート率算定の期間については、美容室の客層や立地、価格帯によっても顧客の再来店の基準日は異なりますが、一般的に約3か月(90日間)と設定しているサロンが多いようです。
そして、全国の美容室における顧客リピート率(平均値)は、新規顧客30%、既存顧客70%と言われています(90日間)。
上記を元に新規比率20%(全顧客数のうちの新規顧客数の割合)として試算してみると、
90日間で100人の顧客のうち20人が新規顧客、80人が既存顧客として算定されます。
条件のリピート率より、
リピート新規顧客=20人×0.3=6人
リピート既存顧客=80人×0.7=56人
合計リピート顧客数=6+56=62人
となり、90日スパンで考えると新規顧客のうち6人、既存顧客のうち56人(合計62人)がリピート(再来店)してもらえたという分析になります。
しかし、この計算では、リピート率が100%でないと美容室の顧客数は減る一方であるため、新規顧客とリピート顧客の集客を両立して取り組む必要があります。
美容室経営においては、新規顧客とリピート顧客の集客のバランスが重要です。
では、美容室の理想のリピート率はどれくらいなのでしょうか。
理想としては、「新規比率20%、新規顧客のリピート率50%、既存顧客のリピート率90%(90日間)」を目指したいところです。(全国の平均値は顧客のリピート率30%、既存顧客のリピート率70%)
新規比率20%だと、90日間で100人の顧客のうち20人が新規顧客、80人が既存顧客
リピート新規顧客=20人×0.5=10人
リピート既存顧客=80人×0.9=72人
合計リピート顧客数10+72=82人
新規比率20%だと、新規顧客数は20人のため、
リピート顧客数82人+新規顧客数20人=102人
となり、初めに設定した顧客数100人より多くなるため、これは客離れがなく、顧客が増えている状態となります。
よって、リピート客数を減らさないために、新規・既存顧客共に顧客満足度を高めるサービスを継続的に行うことが重要です。
先ほどの試算で、リピート率が美容室経営において重要であることはご理解いただけたと思います。
では、リピート率が低い美容室の共通点にはどのようなものがあるのでしょうか。
こちらは小規模店舗よりも中大規模店舗に比較的多い傾向ですが、スタイリストやアシスタントの接客数が多くなってくるため、一人一人への対応が悪くなるケースがあげられます。
具体的には、スタイリストやアシスタントの疲れによって施術が雑になったり、会話がなかったり、顧客を放置したりすることです。
やはり、どんなに施術が上手くても、時間とお金を顧客が美容室に費やす以上、居心地の悪い空間に通い続けることは顧客にとって苦痛になるので、サロン替えを検討される要因となってしまいます。
担当のスタイリストと合わないという点も、リピート率が低い原因にあげられます。
顧客がオーダーしたスタイルと違う、似合わせていないなど、施術するスタイリストと感性が合わないケースがあります。
次回にスタイリストの変更(別のスタイリストを指名する)を申し出れば良いのですが、関係性が気まずくなり、なかなか言えることではないため、サロン事態をリピートしなくなる要因となります。
いくら接客態度が良く、技術があっても、他社と差別化を図ることができるサービスがないと、「違いがないなら家や職場の近くの美容室でいいかも」と思ってしまうのが、顧客心理です。
この店でしかできないサービス、この店でしか買えない商品がなければ、別のサロンに足が向いてしまうのは当然のこと。または、今はそのままでいいけれども、新しい店や知人からの紹介でいい店があれば他店に移ってしまう可能性もあります。
よって、店のコンセプトをしっかりと押し出しながら、接客や施術のサービスでお客様に特別感や満足感を味わっていただくことが最も重要です。
最後に、美容室のリピート率をUPさせるためにはどのようなことができるのでしょうか。
まずは、店としてのターゲット顧客をしっかりと設定することです。「誰」に「どのようなサービス」を行うかによって、店づくりの方向性は変わります。
例えば、「年齢」「性別」「スタイル」「価格帯」などにより具体的なペルソナ設定を行う必要があり、それにより、どんな雰囲気の内装・チラシやWEBサイトにするのか、どのような施術メニューをそろえるのかが決まり、ターゲット顧客に選ばれやすい美容室になります。
店のコンセプトを明確にし、潜在的なターゲット顧客に認知してもらうことが、美容室のリピート率アップには重要です。
その理由は、顧客のミスマッチ(来店したけれども店が合わないと感じること)を防ぐからです。
店のコンセプトを店やWEBサイト、SNSなどに明確に反映させて、「どんな店か」「どんなスタッフがいるか」「どんな雰囲気か」「どんな施術が売りか」が予め顧客に分かるようにすれば、顧客も自身に合いそうなサロンを選択するため、大きく好みと外れる可能性は少なくなると言えます。
施術価格が安いということは、他店に対して大きなアドバンテージですが、クーポンやDMなどで大幅な減額をすると、「安い」ということが目的の顧客も集客されることになるため、その他にもっと安い美容室があれば、別の美容室に簡単に移ってしまう可能性があります。
よって、クーポンやDMで施術価格を安くしすぎるのはおすすめではありません。
こちらはさまざまな手法がありますが、「オリジナルさを出す」「施術の質を上げる」「接客態度を良くする」ことなどで、顧客満足度を上げ、リピート率を上げられる可能性が高まります。
しかし、これらは多くの美容室が日々取り組んでいることであるため、さらにリピート率を上げるためには、顧客の名前を会話に盛り込むことが大きなポイントです。
「〇〇様の髪質にあったパーマスタイルはいかがでしょう?」
「〇〇様の髪の状態であればハイトーンのカラーよりもダークトーンがオススメです」
「〇〇様のお仕事であれば、耳に掛からない波パーマの方が清潔感がありますよ」
などと、他の誰でもないその顧客の髪質や髪の状態、悩みなどをを理解した上で、スタイルの提案をすると、自分の事をしっかりと考えてくれているという気持ちになり、顧客満足度はUPします。
このように、顧客一人一人に真摯に向き合っていくことで、次もお願いしたいと思われるようになり、リピート率も向上していくと考えられます。
施術したら終わりではなくDMやSNSを通して、来店のお礼や購入してもらった店販商品の簡単な説明などをお伝えし、継続的にコミュニケーションを取ることが大切です。
既存のお客様でしたら、これまでの来店履歴を踏まえて、次回来店予想時の2週間前あたりにキャンペーンなどのお得な情報やクーポンなどを配布したり、新規のお客様であれば、カットやカラーに不具合がないかヒアリングするメールを送ると、顧客は自身が大切にされている実感がわき、次回の来店意欲を高めることができるでしょう。
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