美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容室の経営において、売上をどのようにアップさせるかは、競合の多い業界で常につきまとう大きな課題です。
今回は、美容室の売上に着目し、平均値や売上アップのための具体的な施策や目標設定についてご説明します。
目次
美容室の売上の構造はシンプルで、「客単価」×「客数」で計算されます。つまり、美容室の売上を上げたいのなら、まずは、この「客単価」と「客数」アップに注力していくことが大切です。
一般的に、美容室の「客単価」とは、「お客様が1回の来店で使用する一人当たりの平均金額」を指します。この「客単価」をアップさせるために大切なことは、カットの金額を4000円から4500円にするなどの単純なプライスアップではなく、お客様に、いつもの施術にプラスαのメニューを購入していただくことです。
具体的には、いつもカットをされるA様の客単価は4000円ですが、新年度キャンペーンなどでカットとカラーで6000円としてDMやチラシで営業した場合、その施術を選んでくれるかもしれません。この時、客単価は4000円から6000円にアップしたと言えます。
施術サービス以外にも、シャンプーやトリートメント剤、ヘアケア剤などを店販商品としてお客様にご購入いただければ、客単価はアップしていきます。
次に、「客数」は、来店されるお客様数のことです。カット台やシャンプー台、待合スペースにも限りがあるため、お客様が待機する時間が長くなり稼働率が低下しないよう、予約サイトと連携しながら、効率的に1日の予約スケジュールを立ててくことが大切です。
では、一般的な美容室の平均売上はどのくらいなのでしょうか?経営する美容室の規模を押さえていきながら解説いたします。
はじめに、美容室1人経営や小規模美容室(従業員2〜3人程度)のケースの平均売上を例にあげてみます。
少人数サロンの場合、1人のスタイリストがシャンプーからカット、パーマ、カラー、スタイリングなどを一貫して施術することが多く、お客様1人当たりの施術時間が長くなる傾向にあります。
朝10時から夜の20時まで10時間営業した場合、施術内容にもよりますが、2~3時間/人ぐらい施術に時間がかかるとすれば、一日あたりの平均客数は4~5人程度であり、「客数」が少なくなる点が特徴です。
では売上平均はどれくらいになるのでしょうか。美容室1人経営を例にして、シミュレーションしてみます。
まずは、以下のように「1日の労働時間」「営業日数」「平均施術時間」「平均客単価」を設定します。
上記の想定値より、「美容室1人経営」の場合の月間売上は、
月間売上=「客単価」×「客数」
=6000円×9h/1.5h(90分)×26日
=6000円×6人/日×26日
≒93.6万円(月間)
月間の売上が90万円という数字は、一件悪くない値のように思えますが、売上全体の約35〜40%が人件費、50%が賃料や水光熱費、原材料費、広告宣伝費などの美容室経営の経費となり、残りの10%が営業利益です。
上記の割合より、美容室1人経営のケースは、人件費としてかかるのは自身の労働力のみであるため、売上全体の約45~50%程度(42~47万円)が利益ということになります。
ここから、各種保険や国民年金、銀行などへの返済金が引かれるため、1人経営の場合で90万円以上月に稼いでも、手元に残る金額としては30~40万程度という試算になります。
小規模の美容室(スタッフが自分以外に2人程度)の場合は、美容室1人経営の場合と比べて担当する「客数」が多くなるため、先ほどと同条件で、「客数」を3倍にしてシミュレートすると売上としては約280万円(月間)となります。
しかし、雇用したスタッフに対して人件費(給与・保険・福利厚生など)が支出されるため、実際は売上の20~30%が適正利益の目安と言われています。
つまり、280万×0.2~0.3=56万~84万円程度が経営者の利益の目安になります。
よって、1人経営の美容室よりもスタッフを2~3人程度雇用している小規模美容室の方が売上や利益が多いことが分かります。
しかし、お客様が来ない場合、つまり「客数」が少ない場合でもが少ない場合でも、雇用形態にもよりますがスタッフには給与を支払う義務があるため、自身の利益は低下するケースがあります。
次に、店舗に所属するスタイリスト・アシスタントが10人と仮定し、中・大規模美容室の場合の売上平均をあげてみます。
1人美容室経営や小規模美容室と大きく異なり、中・大規模美容室のケースの場合、アシスタントとスタイリストの業務が分業されていることが一般的です。アシスタントがシャンプーやドライなどを行い、スタイリストがカットやカラーの施術などを行うため、お客様へのスタイリスト1人当たりの施術時間が短くなり、一日あたりの「平均客数」が多くなるのが特徴です。
以下のように状況を仮定し、「平均客単価」と「平均客数」より売上をシミュレートしてみます。
これらより、「中・大規模美容室」の場合の売上(月間)は、
売上(月間)=「客単価」×「客数」
=6000円×8h/1.0h×10人(スタッフ数)×25日
=6000円×8人/日×10人(スタッフ数)×25日
≒1200万円(月間)
となります。やはり、1人美容室経営や小規模美容室よりは売上が多くなります。
オーナーの利益としては、先ほどと同様に売上の20~30%が適正利益の目安と言われているため、1200万×0.2〜0.3=240万〜360万円程度と考えられます。
ここまでは、美容室の規模別に平均売上について、条件を設定しながらご説明しましたが、異なる条件下でも、美容室の売上を向上させるための方法はどのようなものがあるでしょうか。
まずは、売上構造の中の「客数」を増やす方法です。「客数」を増やそうとする場合、主に以下の手法が有力だと思われます。
店舗を改修し、カット台やシャンプー台、待合空間などの規模を拡大することで、お客様の施術する人数を増やす方法です。
ただし、店舗を拡大する場合は、ある程度リピート顧客(店のファン)がつき、従業員に給料を支払っても十分な利益を確保できる場合に有効です。
店舗はそのままで、お客様の施術する人数を増やす(一人当たりの施術時間を短くする)ためにできるのが、スタッフを雇用する方法です。
この場合、雇用したスタッフに人件費(賃金・各種保険など)が生じるため、前月比や前年比などで、比較的来店者数が把握できている場合に有効です。
スタッフを雇用しても、利益が出ない程度の来客数見込みである場合(エリア的に営業しても新規顧客が望めない場合)には、支出>売上となるため適しません。
この方法は、立地と客層によっては効果がある手法です。
例えば、駅に近い立地である場合、営業時間を少し長くすることで会社帰りのサラリーパーソンの方々に利用される可能性もあります。
しかし、スタッフを雇用している場合は営業時間が長くなると人件費が生じてくるため、売上を見込んだ営業時間の設定が必要です。
昨今では、美容室の営業は、拡散力の高いInstagramやTikTokなどのSNSが主流となりつつあります。施術写真や施術の様子などのショート動画をUPしていくことで、潜在顧客にも自店を知ってもらうことができ認知度は向上します。
投稿のコツやタイミング、効果が出る画像編集などは必要ですが、気軽に行えて費用対効果も高い広告宣伝の一つです。
オリジナルメニューの開発や追加は、お客様の満足度・リピート率(再来店数)を高めるため、中長期的な視点で売上を向上させるのに有効な手法です。
以下に具体的な例をあげてみます。
・流行の「癒し」ニーズに応えるメニュー追加(ヘッドスパ、頭皮クレンジング)
・季節やイベントごとのコースメニュー(大学デビューコース:カット+カラー+パーマ、クリスマス特別メニュー:カット+カラー+パーマ+ネイルなど)
・紫外線ケアコース(カラーマニキュア+ヘアケア)
などが考えられます。また、これらのメニュー開発・追加は、顧客ニーズや市場、流行から読み取り、適切なタイミングでターゲット顧客に提供することが必要です。
店舗のスタッフ稼働率が高い場合は、スタイリング剤やシャンプーなどの店販を積極的に行うことで、時間を使うことなく効率的に売上をUPさせることができます。
また、店販はスタリストのみではなく、アシスタントも行うことができるため、お客様とのヒアリングやシャンプー時、施術時、スタイリング時に気付いたことをお伝えしたり、お客様の悩みを解決できる提案ができれば、信頼も高まり購入に至る可能性が高まると考えられます。
しかし、お客様は予算を踏まえて来店しているため、しつこく店販を行ってしまうと、押しつけがましくなりお客様の満足度を下げることになってしまいます。
そのため、店販の際には、ヒアリングやカウンセリング、施術の中で、その人に本当に合った商品を紹介・おすすめし、この美容師さんが言うのだから間違いないと思っていただけるよう努力したいところです。
美容室の売上アップのためには、売上目標の設定が最重要です。
売上目標を決め、スタッフ間で共有することで、集客方法や施術内容、施術単価、労働時間などについて具体的に検討することができます。
美容室1人経営の場合、「売上目標が100万円(月間)」と仮に設定すると、
の条件であれば、
売上=6000円×(9h/1.5h)×24日=864000円となり、100万円と設定した目標に足りないことが試算できます。
ここから、1日の稼働時間は変えずに客単価を6000円から7500円に上げると
売上=7500円×(9h/1.5h)×25日=1125000円となります。
上記のケースにおいては、客単価を6000円から7500円に上げたため、
などの客単価を向上させる具体的な手法を取る必要があります。
上記のような概算値ではなく、店の「損益分岐点」によって売上目標を設定する方法をご説明します。
一般的に、損益分岐点とは、「固定費(店舗の賃料・人件費・水光熱費など)」と「変動費(材料費や諸仕入商品、歩合給などの売上の増減によって発生するもの)」を合わせた利益も損失もない売上高(±0の状態)のことです。
よって、損益分岐点は、ここを下回ると赤字になってしまうラインを示すものです。
損益分岐点売上高は以下の式で計算することができます。
損益分岐点売上高=固定費÷[1-(変動費÷売上高)]
先述したケースと同様に美容室1人経営の場合、以下の条件を設定します。
<計算例>
■固定費
合計20万円
■変動費
合計10万円
損益分岐点売上高=20÷[1-(10/20)]=40万円
よって、損益分岐点売上は上記の条件であれば40万円と算出することができます。
この40万円という売上ラインは最低限超えていかなければ店の利益にならないため、概算値で求めた結果から客単価や労働時間の設定をここから逆算して調整する必要があります。
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