美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容室を開業して働く場合、どれくらい費用がかかるのか目処を立てなければ開業準備が円滑に進みません。
そこで 今回は、美容室を開業する場合にかかる費用の相場や内訳、そしてできるだけ費用を抑えて開業する方法などについてご紹介します。
目次
美容室開業には予想以上に費用がかかり、多くの方が融資資金と自己資金を合わせて開業します。
より立地の良い店舗を求めたり、内装やカット台、シャンプー台をランクの良いものにしたりすることで店舗工事費がかかり、さらに、人を雇う予定であれば人件費などの費用もかかります。
そのため、資金調達をする際には、開業をするにあたってどれくらい費用がかかるのかをあらかじめ想定しておく必要があります。
用意している自己資金と融資資金の中で、工事費と人件費などの費用にいくら使えるのか、また美容室を運営するにあたって水光熱費や仕入れでどれくらいの費用が必要なのかも見通しを持たせるようにしましょう。
美容室を開業する際にかかる費用は、開業する店舗の規模・立地にもよりますが、1000万円から1500万円が相場だと言われています。
①テナント契約費 約150~200万円
②内装工事費 約400〜1000万円
③美容器具費 約150~200万円
④材料費や雑費 約50~100万円
⑤開業後の運転資金 約150~200万円
上記のように費用がかかりますが、⑤の運転資金については、特に金額に決まりはありません。ただ、開業してから約6か月間、固定客が付かず決まった収入が見込めないことも踏まえ、家賃+光熱費15万円/月×6か月+消耗品10万円×6か月=約150〜200万円程度の現金を準備しておくようにしましょう。
ここからは、美容室開業に必要な費用の具体的な内訳を記載します。
美容室開業費用の2~3割を占めるのが物件取得費です。
これは、物件の立地条件や建物の築年数などによって変わってきますが、以下に目安を示してみます。
家賃20万円と想定すると
敷金:家賃1〜12か月分→20万円~240万円
礼金:家賃1〜2か月→20~40万円
前家賃:家賃1か月分→20万円
仲介手数料:家賃1か月分→20万円
火災保険など:10万円
約100万円~300万円の費用が必要となります。
可能な限り初期費用は抑えたいため、不動産の担当者と相談して敷金や礼金の減額交渉を行うことをおすすめします。
次に、内装工事費用です。これは全体費用の40〜50%を占めてきます。
一般的に、
スケルトン物件: 25万〜60万円/坪程度
居抜き物件: 12万〜25万円/坪程度
の費用がかかってきます。以下が、内装工事費用の見積例です。
【スケルトンからの内装工事】
・直接工事費:坪単価50×15坪=750万円(美容室開業を考えるとき、最低でも15坪以上が大半)
・共通費(仮設費+現場管理費+一般管理費+法定福利費):50万円(直接工事費の約10~15%が目安)
・消費税:上記合計の10%
合計金額は約900万円となります。内装工事で坪50万円の仕様は悪くはないため、概算を出す際はこの程度の費用感で想定しておきましょう。
美容機器や店舗運営に必要な備品は全体費用の約10〜20%を占めます。
シャンプー台:20〜100万円/台(メーカーや仕様によって大幅に変わる)
スタイリングチェア:3〜10万円
スタイリング用鏡:1〜5万
その他インテリア・消耗品:20~30万円
合計150万円程度(+αでパーマなどの施術で必要な特殊・専用機材)
以上のようなものが必要となってきます。
美容室で消耗する備品などは全体費用の約15%が必要となります。
・シャンプー
・トリートメント
・カラー剤
・タオル
・イヤーキャップ
・クロス
・ケープ
・タオルなどのリネン類
こちらはメーカーや仕入れ量によって仕入金額(掛け率)は大きく異なるため、費用を抑えるためには問屋との金額交渉が必要不可欠となります。
SNSやWEB、紙媒体も含めた広告宣伝費は、専門業者に外注した場合、全体費用の10〜20%程度かかると言われています。
・WEBサイト:約30~50万円(SNSと連携したサイト制作が主流)
・チラシ(A5~B5程度の紙媒体のフライヤー):約30万円(制作費+印刷費)
・雑誌広告(専門誌やフリーペーパーなどの紙媒体へのページ広告):約10~50万円
開業後に固定客が付き、安定した売上を見込めるまでの運転資金として全体費用の15~20%程度を用意しておく必要があります。
運転資金は3~6か月分あると良いとされ、
・家賃(テナントを借りる場合)
・水道光熱費
・通信費
・薬剤などの消耗品
などは、開店時から売上が見込めなかったとしても支払えるだけの現金を準備していることが重要です。
開業当初から3か月〜半年はキャッシュフローが厳しくなることが予想されるため、最低でも150~200万円は運転資金として費用がかかることを想定しておきましょう。
美容室の開業には店舗工事費や人件費、水光熱費、店販や消耗品の仕入れ費など多くの固定費用がかかります。ここでは、美容室の開業費用を抑える具体的な手法をご紹介します。
美容室開業にかかる費用で一番大きいものは、店舗の工事費です。店舗の規模や内外装の程度にもよりますが、平均で500万円〜1000万円程度の費用がかかると言われています。
照明機器や空調、給排水などの建築設備工事に費用が大きくかかるため、工事費用を抑えるなら、居抜き物件(シャンプー台や流し、エアコン、トイレなどは前に運営していたものからそのままの状態の施設)の採用をおすすめします。
既存の設備位置(シャンプー台、流しなど)によって希望するデザインの幅は多少制限されますが、もともと美容院として利用されていたため大きな運営上の失敗はないでしょう。
内装仕上や設備仕様のグレードを落とすことで、5~10%程度の費用を節約することが可能です。
仕上やグレードを落とすことで店舗の質が著しく落ちることがないように、適切に施工業者に、材料の質はそのままで価格を落とす検討を早期の段階で実施してもらうことが大切です。
例えば、磁器質タイルをビニル床タイルへ、モルタルからモルタル調のビニルクロスへなどの仕様の変更を行うなどで、効果的に工事費用を低減を図ることができます。
また、設備機器についても、最新機種ではなく型落ち品や中古品、リース品を採用することで初期費用をさらに抑えることができます。
自己資金や融資資金で費用のすべてを賄うのではなく、国や地方自治体の補助金や助成金を活用することも、開業費用を抑えるのに有効な方法です。
美容室の独立開業にあたって使用できる補助金や助成金の種類としては、
・トライアル助成金(一般トライアルコース)
・キャリアアップ補助金
・両立支援等助成金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
などがあります。
補助金や助成金については、こちらで詳しく解説しているので参考にしてください。
美容室を開業するために必要な費用についてご説明しましたが、これらの必要なお金をいつから準備し始めたらよいのでしょうか。
一般的には、開業の半年以上前から資金調達の準備は始めるべきだと考えられています。
事業の計画やテナント物件、内装工事内容が決まるにつれて必要な費用が明らかになってきますが、明確に定まる時期が大体開業の半年ほど前になるのです。そこで必要な費用の総額が出てから、融資の申し込みや審査を行います。
しかし、融資を受ける場合であっても、必ず自己資金の有無は確認されます。美容室開業を夢にみた段階から早めにお金を貯めて計画的に開業の準備を進めていきましょう。
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