美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容室にとって、仕入れは重要な工程の一つです。
特にシャンプーやカラー剤、パーマ液といった薬剤は施術の仕上がりに直結するため、顧客満足度やリピーターの定着、店舗の評判に大きく影響すると言えるでしょう。
しかし、
「美容室を新規開店するにあたって、仕入れ先を選びたいけどよくわからない……」
「今の仕入れ先に不満!新しく仕入れルートを確保したい……」
「仕入れを間違えて節税に失敗!消耗品費や備品など、勘定科目も難しい……」
と悩まれている方は少なくありません。
そこで今回は、美容室における仕入れ先の種類とそれぞれのメリット・デメリット、仕入れた商品や物品の会計処理について解説しますので、仕入れでお悩みの美容室オーナー様はぜひ参考にご覧ください。
目次
美容室で取り扱う商品はコテやタオル、シャンプー台といった施術に関するものから、お客様に提供する飲み物やお茶菓子、美容室を彩るインテリア小物に至るまで、多岐にわたります。
なかでもシャンプーやトリートメント、カラー剤、パーマ液といった薬剤は、施術やメニューに直接関係するため、美容室ごとのこだわりが出るポイントだと言えるでしょう。
そこで肝心なのが、「仕入れ先」です。
美容室で取り扱う商品や物品は、『美容ディーラー・問屋・仕入れサイト・美容メーカー』から仕入れることができ、それぞれにメリットとデメリットがあります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。
美容ディーラーとは、美容メーカーや問屋から美容商材の買い付けを行う代理店で、多くの美容室が美容ディーラーを介して仕入れを行っています。そのため、後述する問屋などと比べて入り口が広く、開業前の相談などにも応じてもらえる場合もあります。
美容ディーラーを利用するメリットは、
という点が挙げられ、仕入れ以外にも、メニュー考案や集客、求人募集、労務・財務相談など、さまざまなサポートを受けることができます。
反対にデメリットとしては、
といった点が挙げられるでしょう。
特に経営・運営の相談は、信頼関係が構築できなければ難しいものですので、契約する前に納得いくまで担当者と打ち合わせを重ね、担当者の熱量や美容室との相性を見極めることが重要となります。
美容ディーラーの選び方については
「美容室ディーラーの選び方を解説!信頼できるディーラーのポイントとは?」を、
美容ディーラーの役割については
「美容ディーラーとは?役割や利用するメリット・デメリットを解説」をご覧ください。
問屋とは、美容メーカーから商品や物品を仕入れて、美容ディーラーや美容室に卸す業者のことです。基本的な業務内容は美容ディーラーと同じですが、大半がディーラー経由での販売となるため、美容室が問屋と取引するのは少数派です。
問屋を利用するメリットは、
といった点が挙げられます。
また、最近ではネット通販を行う問屋も増えており、会員であれば店舗にいながら仕入れできるようになりました。
一方、デメリットとしては、
といった点が挙げられるでしょう。
通常、問屋は商品をエンドユーザーへ販売しませんので、入会するハードルは高くなります。
先ほどもご紹介した通り、実際には美容ディーラー経由でないと商品を卸してもらえないことが大半で、入会受付をしている問屋でも、理容師・美容師免許や美容所検査確認済証、店舗のサイト、パンフレットなどを提示して、なおかつ審査に通過しなければ会員になれないことがほとんどです。
加えて、美容メーカーからの情報は入りやすいのですが、地場のマーケティングには疎いことが多いため、経営や運営の相談には不向きだと言えるでしょう。
仕入れサイトとは、ネット通販で商品や物品の仕入れができるサイトのことです。基本的には問屋が運営していますが、IT企業や美容メーカーが運営する仕入れサイトもあります。
2020年には、Amazonが美容師・美容室を対象とした仕入れサイト「プロフェッショナル・ビューティーストア」をオープンし、話題となりました。
仕入れサイトを利用するメリットは、
といった点があります。特に、フリーランスで活躍する美容師やスタイリストにとって、使い勝手の良いサービスだと言えるでしょう。
一方、デメリットとしては、
といった点が挙げられます。
ちなみに、Amazonの「プロフェッショナル・ビューティーストア」も、あくまでビジネス向けのサービスですので、利用するには理容師・美容師免許や保健所の許認可書類などを提出して審査に通る必要があります。
正直なところ、仕入れサイトは登録さえできれば担当者とコミュニケーションをとる必要がなく、気軽に商品や物品を発注できて大変便利なのですが、現状はまだまだデメリットの方が多い傾向にあります。
例えば、美容ディーラーから商品を仕入れる場合は、美容室のコンセプトや経営状態、市場や地場のトレンドなどから判断して、マッチする美容商材を提案してくれますが、仕入れサイトの場合はこれら全てのリサーチを自分達で行わなければなりませんし、機器の故障や破損が発生した際も、自分達でメーカーへ問い合わせて対応する必要があります。
さらに言えば、仕入れサイトに出品している業者はメーカーではなく美容ディーラーや問屋であることが多く、Amazonの「プロフェッショナル・ビューティーストア」においても出品者の大半が美容ディーラーであり、メーカー直販は一部であるとの記述があります。
以上のことを踏まえて、仕入れサイトは補助的なポジションで活用するのがお勧めだと言えるでしょう。
美容メーカーによっては、直接仕入れることができる場合もあります。
しかし、美容室との取引を業務として持っていないメーカーが多いため、人からの紹介やBtoBのパートナー提携でコネクションを作る必要があり、大変ハードルが高いと言えるでしょう。
美容メーカーから直接仕入れるメリットとしては、
といった点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、
といった点が挙げられるでしょう。
そもそも美容メーカー自体が流通や販売に携わることはごく稀で、問屋や美容ディーラーといった代理店を通すのが通常です。
そのため、メーカー直販にこだわらず、取引したいメーカーと契約をしている問屋や美容ディーラーから仕入れることをお勧めします。
結論からお伝えすると、これから仕入れ先を探される方には、仕入れの難易度が低い美容ディーラーがお勧めです。
そもそも問屋や美容メーカーは美容室へ商品を販売することを前提としていないため、これらの業者から美容室が直接仕入れをするのはごく稀なことだからです。
そして、仕入れサイトは仕入れのハードル自体こそ高くはないものの、仕入れサイトに出品している業者の多くが美容ディーラーですので、同じ値段を払って商品を仕入れるのであれば、美容ディーラーと直接契約をして仕入れや店舗運営のサポートを受ける方がお得感がありますし、リサーチや注文をする手間も省略できます。
また、すでに美容ディーラーと契約しているものの、仕入れやサポート体制に不満があるオーナー様に関しては、別の美容ディーラーへの乗り換えや、複数のディーラーを活用するという方法も検討されてみてはいかがでしょうか。
次に、美容室で仕入れた商品や物品の会計処理についてご紹介します。
美容室での仕入れは「仕入」「消耗品費」「備品」といった勘定科目で計上することが多いのですが、金額や耐用年数によっては「資産」として扱われることもあり、この場合は全額経費計上ができませんので注意が必要です。
それでは、詳しく見ていきましょう。
美容室に欠かせないシャンプーやトリートメント、カラー剤、パーマ液などの消耗品は、仕入れた費用を全額経費に計上できます。
勘定科目は「消耗品費」でも問題ありませんが、売上に直接影響する原価になりますので「仕入」で計上するのが望ましいでしょう。
また、美容室内で使う商品は「材料仕入れ」、店販商品は「商品仕入れ」と、分けて処理した方がわかりやすいです。
そして、期末に在庫が余った際は、「貯蔵品」で計上します。
美容室で使用するシャンプー台やパーマ用機器、カット椅子、パソコン、レジスターなどの備品は、耐用年数や仕入れ時の金額によって会計処理が異なるため、注意が必要です。
購入時の金額が下記の条件に当てはまる場合、勘定科目は「消耗品費」となり、全額経費計上が可能です。
【消耗品費の条件】
1個(1セット)あたりの購入金額が10万円以上、もしくは耐用年数が1年以上あるものは資産として扱わなければいけませんので、「備品」として計上し、耐用年数に応じて減価償却を実行していきます。
減価償却とは使用する期間で価値を分割して会計処理を行うことで、購入した年の期末に全額経費計上することができません。なぜなら、耐用年数が残っているうちは収益につながる可能性があるからです。
また、減価償却は年割ではなく月割(日未満は切り上げ)で計算しますので、期末月に10万円以上の備品を購入してもわずかな金額しか経費として算入できません。
そして、耐用年数は美容メーカーや美容室判断で決められるわけではなく、国税庁が定めている年数を利用する必要があり、例えばシャンプー台などの理容・美容機器は5年、パソコンで4年と定められています。
詳しくは国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」をご確認ください。
備品が10万円以上20万円未満の場合、「一括償却資産」として会計処理することができます。
一括償却資産とは、1個(1セット)ずつ個別で会計処理をせずに一括で処理する資産のことで、20万円以下の他の資産をまとめて、毎年取得価額の3分の1ずつ、3年にわたって償却していきます。
例えば、3月末が決算の美容室で、5/15にレジスターを現金10万円で購入、7/15にパソコンを現金17万円で購入したとします。そして、それぞれを一括減価償却資産として会計処理し、決算時に減価償却費として処理してみましょう。
5/15にレジスターを購入
借方 | 貸方 | ||
一括減価償却資産 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
7/15にパソコンを購入
借方 | 貸方 | ||
一括減価償却資産 | 170,000 | 現金 | 170,000 |
レジスターとパソコンを合わせた一括減価償却資産は27万円になり、これを3分の1した9万円を減価償却費として計上することができます。
決算時の会計処理
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 90,000 | 一括減価償却資産 | 90,000 |
購入した備品が10万円以上30万円未満かつ中小企業の場合、令和4年3月31日までに取得した資産は「少額減価償却資産の特例(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)」を利用して処理することができ、この制度を利用すれば、トータル300万円を上限として全額損金算入が可能となります。
例えば、事業年度末の最終月にシャンプー台を購入した美容室の場合、通常は1ヶ月分しか減価償却費として計上できませんが、この制度を使うと全額を経費計上できるため、上手く活用すれば大きな節税効果が得られます。
ちなみに中小企業の条件は、
となります。
詳しくは、国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」をご覧ください。
美容室で使用するハサミやコーム、フェイスガーゼ、コテ、ドライヤーなどの備品や道具は、基本的に資産としての条件に当てはまりませんので「消耗品費」として計上しますが、先ほどご紹介したように10万円以上するものは減価償却資産として扱う必要があります。
しかし、大量に仕入れてしまい使い切れないまま期をまたいでしまう場合は、消耗品費から消耗品という資産の勘定科目に会計処理する必要性が出てきますので、店舗の在庫や納税額を考慮しながら発注していく必要があるでしょう。
仕入れサイトや問屋を利用すると年会費が発生することがありますが、その際に発生した費用は「雑費」や「諸会費」として会計処理します。
雑費とは、年間の取引数が少なく、美容室の経営や運営に与える影響が少ないものを指します。耐用年数が過ぎて使えなくなったシャンプー台を処分する際にかかる費用も、雑費で計上して問題ありません。
また、雑費や諸会費に似た勘定科目として「支払い手数料」がありますが、こちらはクレジットカードの年会費のように、コンスタントに発生する手数料を処理する際に使用します。
今回は、美容室の仕入れ先の種類とメリット・デメリット、会計処理について解説しました。
仕入れは店舗の在庫状況や売上、集客見込み、その他の経費のことも考えて行う必要がありますので、本来であれば税理士や会計士と相談の上で行っていくことが望ましいのですが、「税理士をつける予定がない」「自店舗でやっていきたい」という美容室も多いかと思います。
このような美容室は、美容ディーラーの活用がお勧めです。
なぜなら、美容ディーラーはただ商品を卸売りするだけではなく、美容室のパートナーとして財務診断や仕入れの調整なども行っているからです。
弊社クリエイティブブレーンでは、美容室の仕入れや経費計画に加えて、資金計画やキャッシュフロー計画、返済計画などもサポートしています。仕入れのご相談から経理・経営に関するご相談まで、ぜひお気軽にお問い合わせください。
クリエイティブブレーンは、COTA専売の美容ディーラーです。
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